認知症とお金|「まだ大丈夫」の前に考えておきたいこと

くらしとお金のアドバイザー、ファイナンシャル・プランナーの水島幸代です。

認知症対策というと、「まだ先のこと」と感じる方も多いかもしれません。
でも、その前に一度、考えておきたいテーマがあります。
それが「認知症とお金」の関係です。

判断できなくなると、できなくなることがある

私たちは普段、当たり前のようにお金の管理をしています。
口座からお金を引き出したり、契約を結んだり、解約したり。
こうした行為はすべて、「自分で判断できること」が前提になっています。

もし、その判断が難しくなってしまったら——

なんとなく「家族が代わりにやってくれるのでは?」と思われがちですが、実はそう簡単ではありません。
預金の引き出しや、サブスク・通販の定期契約の解約、保険や不動産に関する手続きなど、日常に必要なことがスムーズに進まなくなることがあります。

これは「本人を守るため」の仕組みでもありますが、
一方で、家族にとっては大きな負担になることもあります。

「いざというときに使いたいお金が動かせない」
そんな状況が起こる可能性もあるのです。

高齢者だけの話ではありません

認知症というと、高齢になってからの話と思われがちです。
もちろん、そのケースが多いのは事実です。

でも実際には、病気や事故などによって、思いがけず判断力に影響が出てしまうこともあります。

たとえば——
・脳の病気で判断力に影響が出る
・事故や大きなけがで、しばらく意思表示が難しくなる
・回復までに時間がかかる

こうした状況は、どの年代でも起こり得るものです。
「まだ若いから大丈夫」と言い切れないのが、現実でもあります。

“そのとき”は、突然やってくるかもしれない

昨日まで普通にできていたことが、
ある日を境に、急に難しくなる。

そんな変化は、ゆっくり進む場合もあれば、
ある日突然、訪れることもあります。

だからこそ、「そのときが来てから考える」のではなく、
少しだけ先回りしておくことが大切です。

できるうちに、できることを

では、何をすればいいのでしょうか。

特別に難しいことをする必要はありません。
まずは、自分の状況を把握すること。
そして、「もしものとき」にどうしたいかを考えてみること。
それだけでも、大きな一歩です。

たとえば、
・どんな財産があるか整理しておく
・信頼できる人を思い浮かべておく
・意思を伝える方法を考えておく

こうした準備は、元気で判断できる今だからこそ、進められるものです。

小さな備えが、大きな安心につながる

お金のことは、つい後回しにしがちです。
とくに「もしも」の話は、考えるのが少し面倒に感じることもありますよね。

でも、元気な今だからこそ、自分の意思で決められることがあります。

誰に、どう支えてほしいか。
どんなふうにお金を使ってほしいか。

完璧な準備でなくてもかまいません。
でも、「何もしていない」状態から一歩進むだけで、
その先の安心感は大きく変わってきます。

相続の準備も、こうした延長線上にあります。 「まだ早い」と思っている今こそ、できることを少しだけ。
それが、未来の自分や、まわりの人を助けることにつながっていきます。
→ 相続は「まだ先」じゃない?元気なうちに考える理由

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