年金はいつもらうのが正解?|「得する年齢」より大切な考え方

くらしとお金のアドバイザー、ファイナンシャル・プランナーの水島幸代です。

最近はYouTubeやSNSで、「年金は繰上げ受給したほうが得」「いや、繰下げ受給一択」といった情報を見かけることがあります。実際に、「動画で見たので、早く受け取ることにした」という話を聞くこともありました。

こうした情報の見方については、お金の勉強、何を信じる?情報の海で迷わない“お金のリテラシー”の身につけ方でも書きましたが、発信者の立場や目的によって、伝え方はずいぶん違います。強い言葉で不安をあおっていても、その結論が自分に当てはまるとは限りません。

年金の受け取り方も、まずは「自分の条件で考える」ことが出発点です。

繰り上げれば受取額は減り、繰り下げれば増える——だから「どちらが得か」という話になりがちです。

けれど、年金は単なる金融商品ではありません。
長生きへの備えという大切な役割があります。

だからこそ、損得の計算だけでなく、自分の暮らし全体の中で考えることが大切です。

年金の一番の特徴は「一生涯受け取れること」

年金を考えるとき、まず押さえておきたいのが「終身」という点です。

貯蓄は使えばなくなりますが、年金は生きている限り受け取り続けられます。
何歳まで生きるかわからない中で、毎月一定の収入が見込める――これは老後のくらしを支える大きな安心につながります。

年金は、老後のキャッシュフローの土台として機能します。一時的な資産ではなく、継続して入ってくる収入として捉えることが大切です。

「いくら貯めるか」の前に「いくら入ってくるか」を確認する

老後資金というと、「いくら貯めればいいか」という貯蓄額に目が向きがちです。
でも順番としては、まず「毎月どのくらい収入があるか」を確認することが先です。

年金の見込み額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。夫婦であれば二人分を合わせた金額が、老後の基本的な収入になります。そこから月々の生活費との差を見て、その差を貯蓄でどう補うかを考える。

この順番で整理すると、必要な準備額がずっと現実的に見えてきます。

繰上げ・繰下げも、ライフプランの中で考える

受け取り開始時期については、
・ 働く予定があるか
・ 貯蓄の状況はどうか
・ 健康状態はどうか
・ 配偶者の年金はどうなるのか
――条件は人によって大きく異なります。同じ制度でも、正解は一つではありません。

「何歳まで生きたら得か」という試算も参考にはなりますが、それだけでは見えてこないこともあります。

繰上げ・繰下げの選択も含めて、年金の受け取り方はライフプラン全体の中で考えるものではないでしょうか。

まず「自分の年金額」を知ることから

老後のお金を考える最初のステップは、意外とシンプルです。

自分がどのくらいの年金を受け取れるのかを確認すること。その数字が、これからの計画を立てる起点になります。

漠然とした不安を持ち続けるより、まず手元にある情報を見てみる。
そこから、自分の暮らしに合った見通しが少しずつ見えてきます。

年金は「いつ受け取るか」を考える前に、「どんな暮らしをしたいか」を考えるための大切な手がかりでもあるのです。

老後資金といえば、有名な「2000万円」の話を思い出す方も多いことでしょう。老後のお金、いつから考えたらいいか、悩む方は、ぜひこちらも参考にしてください。
→ 老後資金って、いつから考えたらいいの?

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