遺言って本当に必要?知っておきたい基本と選び方

くらしとお金のアドバイザー、ファイナンシャル・プランナーの水島幸代です。
相続の準備を考えたとき、よく話題にのぼるのが「遺言」です。
でも、「なんだか難しそう」「特別な人がやるものでは?」と感じて、後回しになっている方も多いのではないでしょうか。
実は遺言には、いくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
今回は、元気なうちに知っておきたい基本を、やさしく整理してみます。
遺言には主に3つの種類がある
一般的によく使われる遺言は、次の3つです。
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
この中で、多くの方にとって身近なのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。
自筆証書遺言|手軽に始められる方法
自筆証書遺言は、自分で作成する遺言です。
以前はすべて手書きが必要でしたが、現在は制度が見直され、財産目録についてはパソコンで作成したものを添付することも可能になっています。
費用を抑えながら、自分のペースで準備できるのが大きなメリットです。
一方で、形式の不備があると無効になる可能性があることや、保管方法によっては紛失や見つからないリスクがある点には注意が必要です。
こうした不安を減らす方法として、法務局で遺言書を保管する制度もあります。2020年7月より開始されたこの制度は、比較的シンプルな手続きで、費用も数千円程度(2026年6月現在)です。
内容を見直して書き直した場合は、新しいものが有効となります。じっくり考える前の”取り急ぎのぽっくり対策”として「まずは作ってみる」という使い方もできます。
遺言は高齢だから必要ということでもありません。特に、おひとりさまや、子どものいないご夫婦などは、意思を形にしておく手段として検討する価値のある制度といえるでしょう。法定相続人がいない場合は、最終的に財産が国に帰属するケースもあります。そうしたことを考えると、万が一のときのための備えとして、生命保険に少し近いイメージで考えてもよいかもしれません。
なお、現在*はデジタル遺言の導入に向けた法改正も進められており、近い将来、スマホやパソコンで作成した遺言を法務局で保管できるようになります。
遺言のしくみも少しずつ時代に合わせて見直されているようです。「遺言は難しいもの」というイメージは、これから変わっていくのかもしれません。
* 本投稿は、2026年6月26日時点でのコラムです。
公正証書遺言|確実性を重視する方法
公正証書遺言は、公証役場で作成する遺言です。
公証人が関与するため、形式不備の心配が少なく、内容も比較的確実に実現されやすいという特徴があります。
その分、費用や手間はかかりますが、安心感を重視したい場合には選ばれることが多い方法です。
どちらがよいかは「状況によって違う」
どの方法がよいかは、一概には言えません。
・まずはシンプルに始めてみたい
・費用を抑えたい
という場合は自筆証書遺言、
・確実性を重視したい
・内容が複雑になりそう
という場合は公正証書遺言、というように、状況に応じて選ぶことが大切です。
やってみると、意外とハードルは高くない
話を聞くだけと、実際にやってみるのとでは、大きく違います。
私は、自筆証書遺言を作成し、法務局で保管の手続きをしたことがあります。
ハードルは高いどころか、むしろとても低いと感じました。
内容はシンプルで、「自分の財産は○○に引き継ぐ」というもの。便せんに手書きで書いて、法務局へ持っていって、手続きをして——思っていたよりもずっとあっさり終わりました。
もちろん、内容や状況によっては慎重に検討したほうがよいケースもありますが、「難しそうだから」と何もしないままでいるよりは、ずっと前に進めたと感じています。
大切なのは「自分の意思を形にすること」
遺言は、必ずしも完璧なものである必要はありません。
まずは、自分の考えを整理し、それを形にしてみること。
それだけでも、「そのとき」に向けた大きな備えになります。 元気な今だからこそできることを、少しずつ。
自分に合った方法で、「引き継ぐ準備」を進めていきたいものです。
相続は「まだ先」ではありません。元気なうちに考える理由があります。
→ 相続は「まだ先」じゃない?元気なうちに考える理由
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