デジタル遺産って何?見えない資産を残さないための整理のヒント

くらしとお金のアドバイザー、ファイナンシャル・プランナーの水島幸代です。

最近、「デジタル遺産」という言葉を耳にすることが増えてきました。
なんとなく気にはなるものの、「自分には関係ない」と感じている方も多いかもしれません。

でも実は、私たちの身の回りには、思っている以上に“見えない資産”が増えています。

デジタル遺産とは?

デジタル遺産とは、電子媒体やインターネット上にデータとして管理されている財産や情報のことです。

たとえば——
・ネット銀行やネット証券の口座
・クレジットカードや電子マネー
・サブスクリプションサービス(定期お届け便、など)
・スマートフォンやパソコンの中のデータ
・SNSやメールアカウント

こうしたものは、形が見えにくい分、把握されないまま残ってしまうことがあります。

見えないからこそ、気づかれにくい

デジタル遺産の難しさは、「気づきにくいこと」にあります。

通帳や保険証券のように、目に見える形で残っていれば気づきやすいのですが、
オンライン上の情報は、本人しか知らないままになっていることも少なくありません。

その結果、
・口座の存在に気づかず、資産がそのまま残ってしまう
・解約できないサービスの料金が引き落とされ続ける
・大切なデータにアクセスできない

といった問題につながることもあります。

家族でも、簡単には触れられない

「家族なら何とかなるのでは?」と思われるかもしれませんが、
実際には、IDやパスワードがわからなければ、手続きが進まないケースも多くあります。

また、セキュリティの観点から、第三者が簡単にアクセスできない仕組みになっているため、
かえって対応が難しくなることもあります。

本人しか操作できないデジタルの契約や口座は、認知症になると家族でも手が出せなくなることがあります。

よくある事例を2つ挙げてみます。

例えば、月に一度の野菜ジュースを定期お届け便で契約していたとします。契約者は認知症となられた本人。法律上の責任が伴うのが「契約」ですので、解約も本人、または法定後見制度に基づく後見人しかできない場合があります。解約ができなければ、毎月の支払いを止めることは難しくなります。

また、本人が家族に内緒で開いたインターネット証券会社の口座を持っていることもあります。今はすべての郵送物を電子データで受け取ることも可能ですので、口座の存在を知らないまま相続が終わってしまうこともあります。

今からできる、シンプルな対策

では、どう備えておけばよいのでしょうか。
特別な知識やツールがなくても大丈夫です。

まずは「見える化」から始めてみましょう。

たとえば——
・利用しているサービスを書き出してみる
・口座や契約の一覧を作っておく
・信頼できる人に、保管場所を伝えておく

ポイントは、「すべてを完璧にまとめよう」としないこと。
把握できる範囲から少しずつ整理していくだけでも、状況は大きく変わります。

“そのとき”に困らないために

デジタル遺産は、放っておいても自然に整理されるものではありません。
気づかれなければ、そのまま残り続けてしまうこともあります。

相続や遺言の準備とあわせて、こうした“見えない部分”にも少し目を向けておくこと。それが、これからの時代の新しい備えといえるかもしれません。

元気な今だからこそできる、小さな整理。できるところから、始めてみてはいかがでしょうか。
→ 相続は「まだ先」じゃない?元気なうちに考える理由

FPあくあ屋は、あなたの学びを応援します。