「日本の色 ―吉岡幸雄の仕事と蒐集―」

少し前のことですが、一昨年の秋、染色家であり、染織史家でもある吉岡幸雄氏が鬼籍に入られました。その吉岡氏の業績を回顧する展覧会が、緊急事態宣言下のまさに今、京都の東山にある「細見美術館」で開催されています。

日本の色といえば吉岡幸雄氏

名前に馴染みのない方も多いかもしれませんが、吉岡幸雄氏は、江戸時代末から続く染色工房の五代目当主であり、著名な染織史家でもありました。あくあ屋が着物に携わるようになり15年になりますが、そのずっと前のこと、テレビのニュースであったか特番かで天平の時代の色彩をすべて植物染料によって再現した偉業を取り上げていたことを、流れた映像とともになぜかよく覚えています。正倉院に残る遺物やそれほど印象的に美しい映像でした。改めて調べてみると、1991年~1993年の頃だったようです。

正倉院に伝わる染織遺品や、遠くはシルクロードの向こう側の染織技術を研究し、日本に古来より伝わる伝統色の復元を試みられていらっしゃいました。日本の色に魅せられた男として、その様子は、「紫」というドキュメンタリー映画として残されております。

また、日本の伝統色にまつわる書籍も多く、特に「日本の色辞典」はとても素晴らしい作品です。はじめてにこの本を手に取った当時は、茜色、瑠璃色、萌黄色などの多くの色の名前を見て、色を表す日本語のすばらしさにただただ感心するばかりでした。あくあ屋が日本刺繍や着物の世界に魅せられるきっかけでもあったのかもしれません。

細見美術館

一人でひっそりと見に行って帰ってくる分には問題もないかと、緊急事態宣言が終了するのを待っていましたが、残念ながら延期されてしまいました。果たして見に行くことはできるものでしょうか。。。。見たい、見たい、と訴えたら、東京のどこかの美術館で展示をかけてくれないかしら・・・と思いながら、発信してみます。

細見美術館 特別展 「日本の色 ―吉岡幸雄の仕事と蒐集―」
会期:2021年1月5日(火)- 4月11日(日)

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