ゼームス坂花便り ~ 冬に入る

春から夏にかけて色とりどりの花で楽しませてくれたゼームス坂も、すっかりさみしくなってまいりました。冬ともなると、花屋の店先か、支援学校の校門の花壇くらいにしか花が見当たらないなぁ・・・と思っていたら、マンションの生垣に、山茶花(さざんか)が咲いておりました。

一見、ツバキにも見えるかもしれませんが、ぐるりと一周、葉の周囲がギザギザしているのが山茶花です。また、足元を見ると、花びらが落ちているのが山茶花、花ごとポトッと落ちているのが椿です。

以前、日本刺繍で山茶花を刺そうと思い立ち、図案を起こしたことがあります。ところが、出来上がった図案に色鉛筆で色を入れると、どうしても椿にしか見えません。絵が下手だからとしか言いようがないのですが、山茶花は11月頃から咲き始め、山茶花が散ったころに椿の盛りがやってきますので、本来の季節感のイメージとは違ってしまいます。

題材にしやすい季節の花のせいか、椿や山茶花の柄の着物や帯をよくお見かけします。ご自身が椿と思っていた着物や帯の柄が、実は山茶花だったということはありそうですね。どちらもきれいな花ですし、 椿と思えば椿、山茶花と思えば山茶花。わからなければ、好きな方でいいということにいたしましょう。秋の終わりから春先くらいまで、長くお召しになれる季節の柄だと思います。

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