ゼームス坂花便り ~ 夏から秋へ
朝晩がすっかり涼しくなりました。夏の暑さがうそのようです。
お彼岸だなぁ・・・と思っていたら、ゼームス坂でも彼岸花が咲いておりました。本当に季節をしっかり感じさせてくれる花々が多い坂です。
数十年前、子供の頃、夏休みは地方にある母の実家で過ごすことが多かったものです。親が商売をしていたためか、長い休みはよく預けられておりました。祖父母の家から、先祖代々のお墓は徒歩で行ける距離で、毎日のように祖父と散歩がてら、お墓へ往復しておりましたが、その道端にずらっと彼岸花が咲いていたことを思い出します。8月のお盆の頃ですが、ここ東京より北のためか、1か月ほど時期も早かったのでしょう。周りに同年代の子供もおらず、祖父母と散歩するしかない夏休みの思い出だったせいか、あくあ屋にとって、彼岸花の印象はよいものではありません。祖父も地獄花という別名で呼んでおりました。
この花の球根には強い毒があるそうで、間違ってその根を食すと彼岸(あの世)へ渡ってしまうから彼岸花と呼ぶという説があります。根にある毒のおかげか、虫や獣が寄り付かず、田んぼのあぜ道に積極的に植えられていったのだそうです。また、昔は土葬だったために、獣にお墓を荒らされないようにと、お墓の周辺にも多く植えられました。田畑やお墓を守ってくれる花だったのですね。
彼岸花には曼殊沙華というありがたそうな別名もついています。これは仏典に由来があるそうですが、「天上の花」という意味なのだそうです。
最近、夏の着物や帯に彼岸花をデザインしたものを見るようになりました。確かに季節の花ですが、、、あくあ屋は、子供時代のトラウマのせいか地獄花のイメージが抜けず、どうも好きになれません。着物や帯として身につけられるくらいですので、その方にとってはきっと天上の花のイメージなのでしょう。こんなに両極の印象がある花も珍しいですね。
彼岸花も咲くゼームス坂は、そろそろコスモスが咲くころ。単衣の着物がちょうどよい季節となりました。
そういえば、真夏に見た青りんご。ちゃんと赤く色づいていました!写真があまりよくありませんので、お近くの方は、落ちる前に、ぜひ見に行ってみてください。