藤の花
実家の庭に藤の古木があります。例年、ゴールデンウイーク前に満開になり、連休が終わるとともに散っていきます。令和元年の立夏は5月6日から始まります。連休が終わると、暦の上では夏の始まりです。
藤の柄の着物・帯
藤の花は、着物や帯の柄によく用いられます。藤の花が単体で、または、写実的に描かれていれば、桜が散る時期から着始めるとちょうどよいころです。藤の花が意匠として描かれている場合は、格調の高い柄(有職文様)として季節を問いません。
藤花のもつ意味
藤は古来より日本の山野に自生する植物です。奈良時代より紫は高貴な色として尊ばれ、藤の花の美しさは万葉集にも多く詠まれています。山野に自生する藤は、生命力が強く、他の木に絡まりながらどんどん広がっていくことから、長寿や子孫繁栄の象徴とされました。藤は不死とも読み縁起がよいことから、平安時代には位の高い人々が好んで装束などに取り入れ、格の高い文様として尊ばれました。藤の花をかたどった家紋も多くあります。着物や帯に描かれる藤の花には、実に多くの意味が隠れています。
万葉集と藤の花
新元号である「令和」のおかげか、万葉集が飛ぶように売れているということです。万葉集では、風になびく藤の房が波立つように見えることから「藤波」と表現されています。想像するだけで美しい光景ですね。万葉集に詠まれる草花を拾っていくと、着物の柄に多く使われていることがわかります。
斬新な柄やモノトーンの着物が増えている今、あえて万葉の昔から日本にある植物の柄がある着物や帯を選んでみるのもいいと思います。美しさが際立ちます。