長襦袢 あれこれ
夏冬1枚ずつの長襦袢しかお持ちでない方、着物を誂えるたびに長襦袢を合わせて作られる方、皆様、好みやお財布事情に合わせて長襦袢事情はそれぞれです。
そもそも長襦袢とは何でしょう?
着付を初めて習う方が、誰にも相談することなくネット等で独学されると、肌襦袢と混同する方が多くいらっしゃいます。襦袢はたしかに和服の下着を指しますが、長襦袢は肌襦袢と着物の間に着るもので、着物に肌が直接触れることを防いでいます。そればかりか、着物の袖口や振りからきれいな色の長襦袢が見えたり、歩くと着物の裾からも長襦袢の柄がちらちらと見えることもあります。衿には着るたびに半衿という小さな布をぬいつけ、首周りの汚れからも守っています。刺繍半衿や色半衿など、衿元のおしゃれも長襦袢がないとできません。
つまりは、皮脂汚れを防ぐだけでなく、見せ下着にもなっているという優れものなのです。
素材はいろいろ。絹、麻、木綿、洗濯機で洗える化繊。そして、それぞれに薄手や厚手なものもあります。
色もいろいろ。袖口からビビッドな色やかわいい柄をチラ見せさせたり、逆に礼装用の着物では白や淡い色の長襦袢を選びます。1枚持ちの方は、白や淡い色でもたれている方が多いと思います。
さて、1枚持ちの場合、裄の違う着物があると少々困ります。袖口やお袖の振りから長襦袢がはみ出しているのは、あまりおしゃれとはいえません。とはいえ、着物の裄に合わせて長襦袢をそろえるほどの資金もない。そんなときは、着るたびに長襦袢の袖をつまんで縫うしかありませんが、そんなのは嫌だ!・・・とい方が考えたのでしょうか。「うそつき襦袢」というものがあります。袖がマジックテープで着脱可能になっており、裄に合わせてお袖の位置をずらして着用します。
うそつきとはよく言ったものですが、いつの頃からか、肌着に替え袖を縫い付けた「超うそつき」も存在するようになりました。「長襦袢」と検索すると、こうした肌着との合体型も長襦袢として出てくるので、肌着と長襦袢が混同してしまうのでしょう。さらに手仕事が得意な方向けに、縫い方を紹介しているサイトも多くあります。上下別れた二部式も多く、裾除けという肌着とも合体型になっているものまであります。こうなってくると、どれが「長襦袢」なのかを独学で知ることは難しくなってしまいます。
では、何がいいのでしょう?
答えはありません。それぞれのお好みでよいと思います。お財布事情に合わせることもありますし、アレルギーなどで一定の素材しか着用できない方もいらっしゃいます。ただ、現代風に工夫された形を利用する際には、まず、本来はどういうもの(形)なのかを知ったうえで、工夫したものを使っていただきたいなぁと思います。本来の形や着方を知ることで、今以上の工夫も生まれてくるかもしれません。
それでは、何を持っているとよいのでしょう?
これは、それぞれがお持ちの着物や、着物をよく着るシーンによります。あくあ屋着付塾では、着こなし相談も承っております。着物を着ていく場所がない~とおっしゃらずに、ぜひ着物でお越しいただき、自分流の着こなしを見つけるべく学んでいってください。
さて、あくあ屋の好みは。。。着物と同じ素材の長襦袢です。これは、静電気対策ですね。
葉の色も緑から黄色へ変わる季節。着物でお出かけには最適の季節となりました。皆さん、今秋は、着物でたくさんお出かけしてくださいね!