帯枕

帯枕は、お太鼓の形を整え、帯を支えてくれるものです。この写真は、すべて帯枕。大きいもの、小さいもの、横長のもの、ふっくら丸いもの、ぺしゃんこのもの。形はじつに様々です。

最初に手にする帯枕は、和装小物セットとしてひとまとめに購入されたものの中の一つであったか、お母さまやお祖母さまから譲られた着物や帯と一緒にあったものかと思います。

帯枕はいつからあるの?

帯枕は、もっとも一般的な帯結び、太鼓結びのかたちを作る重要な着付小物です。街を歩く着物姿の皆さんをよく観察してみてください。背中のお太鼓の帯山のラインは、優しく丸い、きりりとまっすぐ平ら、帯がふっくら盛り上がっている、逆に薄くてシャープ、微妙に異なるその形を作り出しているのは、帯の下に隠れている帯枕のかたちなのです。

昔は帯枕などありませんでしたが、そもそも帯の形状も今とは異なります。帯だけで結んだり、せいぜい紐で支えたり、、、そして、江戸時代に今の着物のかたちに近づき、明治~大正の頃に現代の着方として定着するようになっています。

着付けを習う皆さんが最初に挑戦するお太鼓結びは、文化10年(1813)深川の芸者が亀戸天神の太鼓橋が再建された際、それにちなんで考案した帯結びの形がもとになっているといわれています。そして、その時に今の帯枕に近いものが登場したという説があります。はっきりとした歴史はわかっておりませんが、時代を経て少しずつ形も変わり、明治の終わりころに今のお太鼓結びとして出来上がったようです。

形いろいろ

さて、帯枕に戻ります。これだけ様々な形に使い分けはあるのでしょうか?

あるといえばありますし、ないといえばないです。

よく、若い方ほど厚みのある帯枕でふっくら丸く、年齢を重ねるにつれ、薄い帯枕にして帯もボリュームを出さないようにする…と言われます。しかし、好みでよいと思います。

また、小さくて丸っこい形状をした帯枕は、飾り結びなどに使うことが多いものです。飾り結びはお太鼓のように背中いっぱいに一直線に帯山がありません。もしお太鼓の帯山がうまくいかないとお悩みの方は、成人式で購入した振袖のセットについてきた帯枕かもしれませんね。帯幅に近い長さの帯枕に変えてみるのもよいでしょう。

素材もいろいろ

スポンジ状の帯枕がほとんどです。背中にぴったりとつけますので、硬いと心地悪いです。

これが真夏となると、、、、スポンジは暑い。そこで、ヘチマの帯枕などが売っています。

あくあ屋は、浴用ヘチマを買ってきて、自作致しました。背中につける側が平らになるように半分に割り、少し濡らして柔らかくしてから帯山のラインが好みになるように丸く形を作ります。乾くと、ちょっと硬いですが、帯枕になります。ガーゼでくるみ、ガーゼ紐をつければ暑い夏用のヘチマ帯枕の完成です。工作や手芸が得意な方なら、好みの幅で作れそうですね。暑さは和らぎますが、硬くて居心地が悪いのが気になる方もいらっしゃいます。

帯枕の紐

紐は意外に重要です。お太鼓は、帯枕だけで背負っていますので、紐がゆるんでしまうと、苦労して結んだお太鼓もずり落ちてしまいます。

紐が化繊の場合、緩みやすいです。そこで、ガーゼ反物で枕と紐ごと全体をくるんでしまうことをお勧めいたします。

たかが帯枕とはいえ、これがないとお太鼓結びはできません。着物や帯の扱いに慣れてきたら、今度は好みの帯の形になる帯枕を探してみてください。

帯枕” に対して1件のコメントがあります。

コメントは受け付けていません。