「刺繍」の歴史は古く、フランス、ハンガリー、インド、タイ、中国など、世界各地で伝統的な文化として発展しています。日本での歴史も古く、なんと飛鳥時代にまでさかのぼります。繍仏や繍マンダラなど、信仰のための荘厳具として仏教の伝来とともに大陸から伝わり、その後、衣類などの装飾に発展していきました。
日本刺繍は、絹布、絹糸や金糸・銀糸を用い、緻密で繊細な技法を要します。大きな枠に絹布を張り、釜糸と呼ばれる縒り(より)のかかっていない絹糸から好みの細さや色となるよう糸を縒り、刺すごとに1本の糸を作ります。表現したいものにふさわしくない細さや色にならないと、糸を作り直しますので、わずか2センチ四方に1日かかってしまうことは普通です。
美しさを追求するほど膨大な時間と手間がかかりますが、この絹糸の光沢にすっかり魅せられております。
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